4人と自然のかかわり
川と人と自然
川は、私たちの暮らしになくてはならない自然環境です。流れを止めるダムや堰(せき)をつくって川の水を利用する一方、堤防によって街や農地を洪水から守ってきました。こうした人間の営みの結果、流れる水の量や水質とともに、川原の環境も大きく変化してきました。
相模川も、流域の急激な人口増加に伴い、大きくその姿を変えようとしています。ここでは、相模川中流の典型的な河原の風景を展示しています。河原に特有の、石ころや砂ばかりの陸地にツルヨシやカワラハハコなどが見られます。かつて、このような環境に見られたカワラノギクも模型で再現しましたが、市内では数カ所のみで見られる程度に減ってしまいました。また、相模川やその流域の様々な水辺に見られる魚や昆虫、鳥、植物の標本も展示しています。
豊かな段丘崖の自然
相模川や道保川、八瀬川、境川に沿ってえんえんと続く段丘崖は、市内で最も自然の豊かな場所でもあります。それは、急斜面のために開発の手が入りにくく、現在ではあまり人も立ち入らないためです。
また、段丘崖の下部には多くの湧き水を確認することができます。湧き水には、きれいな水を好む水生昆虫や魚がすみ、その周りには湿性の植物が生育するなど、ほかの場所とは少し違った生物を見ることができます。 展示では、このような段丘崖の典型的なシラカシ林と、湧き水の様子を忠実に再現しています。また、段丘崖をすみ場所にするタヌキなどのほ乳類や、市街地には見られない山地性の昆虫類の標本も展示しています。
雑木林の自然とそのしくみ
雑木林は人の手によりつくられ、育てられてきた林です。相模原にはもともとシラカシなどの照葉樹の林が広がっていました。人々はこれらの木を伐採し、クヌギやコナラなどの落葉樹を育てて薪や炭の原料に利用し、落ち葉もたい肥をつくるために集められました。このような管理によって明るく保たれた林内には、多くの昆虫や鳥類が生息します。また、落ち葉や動物の死がい、フンなどは、キノコやたくさんの土壌動物によって分解され、植物に栄養分として吸収されます。
しかし現在は、薪や炭を使う人も減ったために林が手入れされることもなくなり、植生はかつてのうっそうとしたシラカシ林へ移り変わろうとしています。 展示では、雑木林を構成するコナラを中心に、林床の様子を再現しています。また、雑木林でよく見られるキノコ類も、模型で紹介しています。
街の中の生き物たち
市街地には土の地面が少なく、植物や動物にとって、必ずしもすみやすい場所とは言えません。しかしこのような場所でも、コンクリートのわずかなすき間や街路樹の根元などにしっかりと根を張って生きている植物や、市街化した環境をたくみに利用して生息する動物たちがいます。中でも、人間とのかかわりにより外国からやってきてすみついた、帰化生物と呼ばれるものの中には、このような環境にすばやく適応して増えた種類が少なくありません。
ここでは、市内に見られる典型的な街路樹と路傍にはえる草、垣根などの景観を再現しました。また、ハシブトガラス、スズメ、ドバトといった市街地にすむ鳥や、庭木とそこにつく虫、路傍にはえるセイヨウタンポポの模型なども展示しています。