地層の標本を作製(平成23年3月)
2011年3月11日に相模原市緑区根小屋の津久井城跡荒久地区遺跡群で、相模原地質研究会のメンバーおよび相模原青陵高校の小尾先生と一緒に地層の剥ぎ取り標本を作製しました。作業中に東北地方太平洋沖地震が発生し大きく揺れましたが、幸い被害はなく、無事作業を終えることができました。
岩石・鉱物・化石は採集したものを標本として博物館に所蔵・展示することができますが、やわらかい地層はそのまま採集するわけにはいきません。そこで、地層の表面に硬化剤や接着剤を塗り、固まった部分だけを剥ぎ取って標本にします。これで、たとえごく一部分とはいえ、地層の実物を博物館で収蔵・展示することが可能になります。博物館の常設展示室「台地の生いたち」コーナーに展示してある地層も剥ぎ取り標本です。
今回作成したものは50cm×30cm程度の大きさです。このくらいですと、収蔵するのに場所をとりません。また、運ぶことも可能なので、学校へ教材として貸し出すこともできます。
剥ぎ取りのできる地層は非常に限られていますが、できるだけ標本を増やしていきたいと思います。(地質担当:河尻清和)
紅葉と、メレンゲと。‐秋の御岳渓谷、地質めぐり‐(平成22年11月)
11月23日、相模原地質研究会のメンバーと紅葉真っ盛りの青梅市の御岳渓谷に行ってきました。目的はもちろん美しい紅葉、ではなく、多摩川沿いの地質調査です。当日は朝方まで残っていた雨も、調査を開始するまでにはすっかり上がり、秋晴れの好天に恵まれました。まさに、紅葉狩り日和、いやいや、調査日和でした。
御岳渓谷の地質はメランジュ、もしくは混在岩と呼ばれるものです。メランジュというのは細粒に粉砕された基質の中に大小さまざまな大きさの岩塊が含まれているものです。メランジュはフランス語で「混合」を意味し、お菓子のメレンゲと同じ語源を持つものです。
御岳渓谷ではぺらぺらと割れやすくなった黒色の泥岩の中に、砂岩・チャート・石灰岩・凝灰岩などの岩塊が含まれているのが観察できました。御岳渓谷のメランジュは、プレート運動によりものすごい圧力が地下深部で種々の岩石に加えられることにより、ぐちゃぐちゃに混ぜ合わされ、それが隆起して、現在、地表で見られるようになったものです。(地質担当:河尻清和)
戦前の鉱物・岩石標本(平成22年10月)
2008年3月、株式会社ニコン 相模原製作所より、鉱物岩石標本が寄贈されました。これらの標本は、株式会社ニコンが、自社製品のレンズ用ガラスの品質向上のための研究目的で購入・採集したということです。標本ラベルに「甲斐國」、「神奈川縣」など旧国名、旧字体で表記されているものも多くあります。また、「満州」、「朝鮮」、「東京府」と、標本ラベルに記載されている資料もあることから、少なくとも戦前に購入・採集したと考えられ、当時の標本の様子を今に伝える貴重な資料です。
これらの標本の一部を、10月末まで、特別展示室で展示します。この展示は地質分野の博物館実習生が実習の一環で製作したものです。展示するのにあたって、産地を現在の市町村名に直したのですが、かなり苦労しました。また、地名だけからは現在の朝鮮民主主義人民共和国なのか大韓民国なのか、わかりにくい資料もありました。例えば「江原道」という行政区画は、朝鮮民主主義人民共和国にも大韓民国にもあります。そのため、どちらから採集された標本であるのかを突き止めるために、いろいろと資料を調べることになりました。(地質担当:河尻清和)
結晶作りに挑戦!(平成22年7月)
水晶、ダイヤモンド、エメラルド・・・、美しい宝石の多くは鉱物であり、地球がつくったものです。美しい鉱物をつくることはできないのでしょうか?まったくできないわけではありませんが、大がかりな装置が必要になり、簡単にはできません。
宝石になるような鉱物はできないけれど、きれいな結晶を作ることは可能です。そこで、相模原市立博物館では毎年、小学校4年生から中学生を対象にした子ども鉱物教室を開催し、参加者に結晶作りを体験してもらっています。この教室は毎年多くの方にお申し込みいただいており、毎回、抽選になります。今年は7月30日と8月6日に行われました。
子ども鉱物教室ではミョウバンの結晶を作ります。ミョウバンは漬物を漬けるときに、色を良くするために使われています。うまく作ると10cmくらいの結晶もできるそうですが、鉱物教室では1cmくらいのものをつくります。今年は博物館のスタッフが大きな結晶作りに挑戦しました。5cmくらいの結晶ができましたが、透明ではなく、形もそれほど良くありません。もっといい結晶を作ろうと、現在挑戦中です。うまくきれいな結晶ができたら、また報告したいと思います。(地質担当:河尻清和)