“十三夜”のお月見
今年は、“十五夜”のお月見をされた方も多かったのではないでしょうか?
天候の不順な日が続く中、平成23年9月12日(月)は、めずらしく晴れ渡った空に、まんまるのお月さまがとてもきれいでした。
ところで、お月見のお手本にした中国にはない習慣が、わが国にあります。“中秋の名月”のひと月後、旧暦九月の“十三夜”の月を愛でるもので、“後の月”(のちのつき)とも言います。
なぜ、“十三夜”なのか、その由来は、諸説ありますが、“十五夜”は、秋の長雨の時期で、雲間に見るなど、すっきりしない天気が多いのに対して、“十三夜”の頃になると、「十三夜に曇り無し」という言葉があるように、晴れることが多いようです。また、日本人独特の美意識にも関係がありそうです。
中学、高校の「古典」の定番『徒然草』の137段は、こう始まります。
「花は盛りに、月は隈(くま)なきをのみ見るものかは」
(訳)桜の花は満開のときばかり、月は満月ばかりを見るものか? いやそうではない。
作者吉田兼好のみならず、不完全なもの、未完のものの持つ美しさを理解する日本人だからこそ、生まれた習慣なのかもしれません。
平成23年は、10月9日(日)が“十三夜”にあたります。(天文担当:上原徹也)
天文展示室リニューアルオープン(平成23年4月)
財団法人日本宝くじ協会の助成を受けて、平成22年12月から平成23年3月までの間、整備工事を実施した天文展示室が『宇宙とつながる』をテーマとして、4月16日(土)にリニューアルオープンしました。
博物館の立地環境からJAXAとの連携により、他市の科学館・博物館にはあまり事例がない実物の天体観測機器等の展示の実現が、このリニューアルの命題のひとつでしたが、小惑星探査機「はやぶさ」に搭載されたイオンエンジンの開発初号機や実際に宇宙空間で観測をして地球に戻ってきた宇宙赤外線望遠鏡(IRTS:アーツ)などの貴重な資料を借用し、展示することができました。
その他、本物の隕石の展示など宇宙とのつながりを考えるヒントが詰まった展示構成となっており、博物館において“宇宙とつながる相模原”を実感できると思います。
また、リニューアルに伴い、リニューアル前の天文展示室のシンボル的な展示だった大型地球模型を能代市子ども館へ無償譲与することとなり、去る6月26日には現地にて除幕式が行われました。「銀河連邦」の構成員である能代市の子どもたちに夢を与える贈り物ができたことは、大変うれしく思います。(天文担当:有本雅之)