平成24年度の大日野原遺跡発掘調査(平成24年8月)
平成22年8月の「考古の窓」で大日野原遺跡(緑区澤井)の発掘調査について紹介しましたが、当該地点の発掘調査は平成23年度をもって一旦終了しました。
平成24年度からは、大日野原遺跡の別の地点を調査地に定め、引き続き中央大学文学部と共同で第2期の縄文時代住居の調査を行います。
第2期の初年度にあたる平成24年度は、調査地にトレンチ(細長い溝)を掘り、遺構の有無を確認する作業を行いました。トレンチをカタカナの「キ」の字状に設定し、重機を使わずに人力で注意深く掘削していきます。今年度は原則として遺構が確認できる土層までの掘削とし、縄文時代の遺構の本格的な調査は平成25年度からとなります。
発掘調査には中央大学をはじめ諸大学の学生や他自治体教育委員会の埋蔵文化財担当職員、相模原市立博物館の市民ボランティアの方々が参加しました。
今回の調査では縄文時代の住居址と明らかに言える遺構は残念ながら確認できなかったものの、古代の住居址が検出されました。この大日野原遺跡に古代の住居が存在したことは新しい知見であり、今後につながる成果といえます。平成24年度は確認調査であったため現地説明会は行いませんでしたが、来年度以降は開催し市民の皆さんに発掘調査現場を見学していただきたいと考えています。
今年度も「ふじの発掘探検隊」として、地元の小学生を対象に発掘調査体験をしてもらいました。幸運にも今回小学生が発掘した場所からは多数の遺物が出土し、子どもたちは目を輝かせていました。自分たちの住んでいる場所で先人たちがどのような生活をしていたのかを知るということは、とても大切なことです。発掘調査の大変さと楽しさを通じて先人の生活に思いを馳せ、ひいては埋蔵文化財の重要性を認識してもらうきっかけになればと考えています。(考古担当:正洋樹)