社寺文化財調査(泉龍寺、望地弁天堂)(平成22年12月)
博物館市史編さん班では、市史『文化遺産編』に収録する彫刻、日本画などの社寺文化財調査を行っています。
ここでは、昨年度の調査から南区上鶴間本町にある泉龍寺と中央区田名・望地弁天キャンプ場内にある望地弁天堂を紹介します。
泉龍寺では、涅槃図、十王図などが調査対象として拝見することができました。また、この寺院には、昭和62年に建造された三重塔があり、市内ではここだけと思われます。その圧倒的な存在感からはそれ以上の歳月の流れをも感じさせます。山門は古くからあるもので、その両脇には阿形像、吽形像一対の仁王像が安置されています。
望地弁天堂の祠は、桧皮葺(ひわだぶき)の立派なもので、市指定文化財である弁才天が安置されています。管理をされている方の話では、その方が以前古老から聞いた言い伝えによると、弁才天には3姉妹説があり、長女が江の島の弁才天で、望地が次女、三女は鹿児島の方に安置されているとのことでしたが、現在ではその話を伝承できる人はいないそうです。
(市史担当:佐藤洋二)
丹沢稜線部の昆虫類調査(津久井町史自然編)(平成22年10月)
今年(2010年4月)から、津久井町史刊行の業務が博物館に加わりました。今までに資料編として「考古・古代・中世」、「近世1」、「近代・現代」の3巻が刊行されていますが、今後も「資料編近世2」、「自然編」などを刊行していく予定です。
自然編を刊行するための基礎調査では、特別な許可を得て丹沢稜線部の昆虫類調査も実施しました。稜線部を歩きながら、ここも相模原市なのかと思わせる自然豊かな光景が広がり、本市の自然の多様性に驚きます。一方、さまざまな要因で枯れていくブナの大木や崩落した緑地を目にすると、調査結果をどう伝え、どのように読んでもらうのか、自然編刊行の大きな責任を痛感します。(町史担当:守屋博文)
市史を作るために調査します(平成22年7月)
市史を編さんする担当になって驚いたことがあります。それは市史を編さんするために多くの調査が行われていることです。
例えば「考古編」ですが、過去に行われた調査を集約すれば作れるものだと思ってしまいがちです。もちろん過去の調査を利用するものもたくさんあります。しかし実際には、市史編さんをきっかけにした調査が行われているのです。
先日も、市内上矢部にある土塁に置かれていた石造物の一部について調査を行いました。このような調査の積み重ねが、市史を作っていく上で、欠かせないことなのだと実感しました。(市史担当:塩谷裕久)